9ヶ月:家族
ふと干してある洗濯物が目に入った。
お人形さんの洋服みたいな小さな小さな洋服や、赤や青のカラフルな女物の下着が干してある。
どれも一人暮らしの時にはなかったものだ。
20数年以上、人生の大半をずっと一人で暮らしてきた。
洗濯物は自分の黒っぽい下着やチェックのシャツ、紺のジーンズっぽいシャツ、ジーパンばかりだった。
せまい4Kの部屋にいつもそういう洗濯物がぶら下がっていた。
自分以外の洗濯物を見て、なんだか唐突に家族ができたんだなと実感した。
そういえば、長い間、伸縮性のある女性用下着に憧れていた。でも、いざ目の前にすると単なる下着に過ぎないことが分かってガッカリする。